エンジニア
不具合の原因を探すだけで時間がかかる
- AIに任せる
- 関連するファイルを探し、原因の候補を整理して、修正差分とテスト結果を出す。
- 人が確認する
- 原因の説明がコードと合っているか。必要な範囲だけを直しているか。
- 効果を見る指標
- 人の手直し前に合格した件数、調査とレビューにかかった時間。
AIに修正を頼んでも、確認とやり直しに時間がかかる開発チームへ
DeepSeekは10月17日、更新版「DeepSeek-V4.1-Flash-1017」を公開しました。開発元は、コード修正などの試験成績が上がり、AIが作業を終えるまでの時間と出力の長さも減ったと報告しています。APIのモデル名と、使用量あたりの料金は据え置きです。[1]
開発チームが確かめたいのは、正しく直せるか、人の手直しが減るか、修正を終えるまでの費用が下がるかです。本稿では、役立つ仕事と使い方を具体化し、自分たちのコードで比較する手順まで整理します。
数値を比べる際は、評価に使ったツールの違いも確認します。
deepseek-flash で更新版を利用。Web・アプリも更新済みです。
速度・出力量の具体的な削減率は、今回の発表には示されていません。
ONE-PAGE BRIEF / 1枚でわかる要点
原因調査と修正のやり直しに時間がかかる開発チームが対象です。開発ツールを通じてAIに関連コードの調査・修正・テストを依頼し、人が差分と結果を確認します。まず1件で接続を確かめ、その後10件ほどの課題で、修正の合格数、完了時間、人の手直し時間、失敗分を含むAI利用料を比較します。10件は小規模な試行の例で、本番品質を保証する件数ではありません。
誰の、どんな課題に役立つか
以下は、今回の更新内容から考えた利用例です。仕事の種類ごとに「AIへ何を任せるか」と「何を測るか」を決めると、導入後の効果を判断しやすくなります。
エンジニア
PM・技術リーダー
AIアプリ開発者/関連APIの活用
どう使えば、仕事の負担を減らせるか
たとえば、「入力欄が空だと処理が止まる不具合を直したい」とします。人は不具合を再現する手順と、期待する動作を渡します。AIは開発ツールを通じて関連コードを調べ、修正案を作り、テスト結果を見て次の作業を決めます。こうして道具を使いながら仕事を進める仕組みが、AIエージェントです。
図は左右にスクロールできます。
「いい感じに直して」だけでは、終わりを判断できません。再現手順、期待する動作、変更してよいファイル、実行するテストを先に示します。比較する両方のAIに同じ依頼を渡します。
AIの「直りました」という説明に加え、変更箇所とテストの実行記録を確認します。既存機能への影響や、今回と関係のない変更がないかも見ます。
本稿の提案 合格条件の例:不具合の再現テストが通り、指定した既存テストも通ること。変更範囲が依頼どおりであること。実行できなかったテストがある場合は、そのまま合格にせず、確認を続けます。
公表された試験結果を読む
以下はDeepSeekが公表したスコアです。各試験は測る能力や採点方法が異なります。数字の大きさを試験同士で比べたり、そのまま自社の修正成功率として使ったりすることはできません。[1][2]
表は左右にスクロールできます。
| 試験と、測る能力 | 9月公開版 | 10月更新版 | 比較するときの条件 |
|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 4.0コマンドを使って課題を解く | 31.2 | 42.3 | 旧版:DeepSeek Harness Minimal 新版:Claude Code 使用ツールが異なります。 |
| DeepSWE v1.1ソフトウェアの不具合を修正する | 74.2 | 77.0 | 旧版:mini-SWE 新版:Mini-SWE-V2 同じ設定で測ったとは断定できません。 |
| ProgramBenchプログラム開発の課題に取り組む | 20.3 | 29.1 | 新版の更新履歴には、この試験の実行環境や試行数の詳細がありません。 |
| HLE/ツールなし幅広い分野の難問を解く | 36.8 | 42.6 | テキスト問題に限った値は、旧版39.1、新版44.0。開発作業の成功率を直接示す指標ではありません。 |
31.2から42.3への差には、モデル以外の違いも含まれます。
AIに使わせるツールや作業の進め方が変わると、試験結果も変わり得ます。この実行環境を「ハーネス」と呼びます。今回は旧版と新版で使用ツールが異なるため、差のすべてをモデル更新の効果とみなすことはできません。[1][2]
待ち時間や費用がどれだけ減るかは、まだ分かりません。開発元は処理時間と出力の長さの削減を報告していますが、具体的な短縮率は示していません。本稿でもモデルを実行して測定していないため、実務の効果は後半の比較で確かめます。[1]
自分に合う入口を選ぶ
まず短いコードで回答を見たい人と、手元のプロジェクトを修正させたい人では、準備するものが違います。以下の利用先から、普段の仕事に合う方法を選びます。
コードの説明や修正案を見たい
公式Webとアプリは更新版に切り替わっています。短いコードを示し、原因の説明や修正案を会話で確かめられます。[1]
手元のファイル変更やテスト実行まで任せる場合は、開発ツールを用意します。
普段の開発手順で比べたい
開発ツールの接続先にDeepSeekを設定し、DeepSeekのAPIキーを使います。APIのモデル名は deepseek-flash。利用料はDeepSeekへのAPI利用分として発生します。[3]
DeepSeekが公開した接続手順:
Claude Code / Codex
Ollamaを入口にクラウドAIを使いたい
1017版のクラウド用モデルが用意されています。モデル本体やGPUを自分で用意せず利用できます。入力はクラウドへ送られます。[6][7]
料金はOllamaのプラン・利用クレジットで確認します。このモデルを無料枠で使えるかは、アカウント側の確認が必要です。[8]
| 入口 | 設定の要点 |
|---|---|
| Claude Code | DeepSeekの接続先・APIキー・モデルを設定します。公式例の主なモデル指定は deepseek-flash[1m]。既定モデルやサブエージェントの設定も含め、公式手順を確認します。[4] |
| Codex | DeepSeekをモデル提供元として登録し、モデル定義と config.toml を設定します。Flash用の公式設定では組み込みWeb検索は無効です。[5] |
| Ollama CLI | deepseek-v4.1-flash:1017-cloud を指定します。[6] |
| Ollama Cloud API | https://ollama.com/api/chat へ直接送る場合のモデル名は deepseek-v4.1-flash:1017。CLIとは末尾が異なります。[6] |
DeepSeek Harnessを使う場合、開発元は 0.2.1-rc.1 以降を推奨しています。[1]
Ollamaを導入してサインイン済みなら、次のコマンドで1017版を指定できます。これはモデルとの対話を始める例です。ファイルの修正・テストを進めるには、Claude CodeやCodexなどとの接続が必要です。[6][7]
ollama run deepseek-v4.1-flash:1017-cloud
比較には、社外のAIサービスに送ってよいコードを使います。Ollamaは、クラウドの入力・出力を処理に必要な間だけ扱い、モデルの学習には使わないと説明しています。アカウントや利用状況の情報は別に扱われます。これはOllamaの方針です。DeepSeekへ直接接続する場合も、利用先の条件と自社のルールを確認します。[9]
単価と、実際にかかる費用を理解する
API単価が同じでも、AIへ渡すコードや会話履歴が増えれば入力の利用料が増えます。何度もやり直せば、その分も積み重なります。回答が短くなっただけでは、合計の利用料が下がったとは判断できません。
失敗・再試行を含むAI利用料 ÷ AIの変更だけで合格した件数
事前に決めた再試行の上限内で判定します。人がコードを直して完成させた課題は、この合格件数に含めません。同じ課題セットで合格数と利用料を比べ、人の確認・手直し時間も別に記録します。全件不合格なら、この割り算は使えません。
単位は100万トークンあたりの米ドルです。トークンは文章やコードをAIが処理する単位で、日本語の文字数とは一致しません。[3]
| 何にかかる料金か | オフピーク | ピーク |
|---|---|---|
| 入力:過去の入力を再利用できなかった分キャッシュ不一致/cache miss | $0.15 | $0.30 |
| 入力:過去の入力を再利用できた分キャッシュ一致/cache hit | $0.003 | $0.006 |
| 出力:AIが生成した分 | $0.60 | $1.20 |
ピークは、中国の祝日を除く月〜金の日本時間10:00〜13:00・15:00〜19:00です(UTC 01:00〜04:00・06:00〜10:00)。それ以外と土日はオフピークです。キャッシュを再利用できた量は、実際の使用量記録で確かめます。[3]
キャッシュ再利用なし、検索・本文取得なしと仮定すると、モデル利用料はオフピークで $0.027、ピークで $0.054 です。
オフピーク:0.1 × $0.15 + 0.02 × $0.60 = $0.027。公表単価を使った計算例で、実際の修正1件に必要な使用量を示すものではありません。再試行や検索を使った場合は、それらも合算します。[3]
自分たちの仕事で、どう確かめるか
本稿の提案 過去に修正した不具合を、修正前のコードで再現すると、結果を判定しやすくなります。1件で接続と記録方法を確かめ、次に普段の仕事から10件ほど選んで比較します。10件は小規模な試行の例です。
社外に送ってよいコードを選び、修正前の状態を用意します。再現手順と必要なテストを決め、正解の修正内容はAIに渡しません。
現在使っているAIと更新版に、同じコード・依頼文・実行ツールを渡します。作業ごとに元の状態へ戻し、推論設定や再試行の上限も記録します。
人が直す前に合否を判定します。完了時間、AIの待ち時間、人の確認・手直し時間、再試行、実際のAI利用料を記録します。
単純な修正、テスト追加、複数ファイルの修正など、種類ごとに結果を見ます。品質と負担の両方を確認できた範囲から使い始めます。
| 見るもの | 具体的な記録 | 判断したいこと |
|---|---|---|
| 修正の品質 | 人の手直し前の合格件数/試した件数。既存テストの失敗や余計な変更。 | 求める動作を、安定して実現できるか。 |
| 完了までの時間 | 依頼開始からレビュー合格までの時間。AIの待ち時間も記録。 | 作業が終わるまでの待ちが減るか。 |
| 人の負担 | 原因の確認、差分レビュー、手直しに使った時間。 | AIに頼んだ後の作業が減るか。 |
| AI利用料 | 失敗・再試行・検索も含めた利用料と、合格件数。 | 修正を仕上げるまでの費用を抑えられるか。 |
旧API名を指定しても、旧版との比較にはなりません。
現行APIでは deepseek-flash のまま更新版へ切り替わっています。旧名 deepseek-v4-flash なども更新版へ転送されます。旧版の実行環境がなければ、「現在使っている別のAI」と比べるか、条件の違いを明記して過去の記録を参考にします。[3]
指定した品質を満たし、現在の方法に比べて、人の手直し時間やAI利用料が減った作業。まず同じ種類の仕事で利用を続け、結果を蓄積します。
料金は安くても手直しが増える、課題によって成否が大きく変わる、既存機能を壊す変更が出る場合。使う範囲や設定を見直し、追加の課題で確かめます。
開発者には、正しく直せて、確認が楽になること。PMには、品質を保ちながら時間と費用を管理できること。その両方を確かめると、この更新を自分たちの仕事に取り入れる価値が見えてきます。
関連更新:最新の資料を使うAIを作りたい人へ
SearchはWebページを検索し、Fetchは指定ページの本文をMarkdown形式で取得します。たとえば、最新のAPI仕様を調べて回答するアプリでは、「公式資料を探す」「本文を読む」「出典を付けて答える」という流れに組み込めます。機能は公式仕様、アプリの使い方は本稿の例です。[10]
図は左右にスクロールできます。
| 使い方 | Search・Fetchの料金 | 確認する点 |
|---|---|---|
| 自作アプリから直接APIを呼ぶ | それぞれ成功1,000回につき$0.75 | モデルが資料を処理するトークン料金は別です。 |
| 対応する開発ツール経由で、DeepSeekのサーバー側検索・取得機能を使う | 対象の呼び出しは2026年11月1日01:00(日本時間)から課金 | それまでは対象呼び出しが無料。モデルの利用料は引き続き発生します。 |
米ドル単価と開始条件:[3]。開始時刻は北京時間11月1日00:00/UTC 10月31日16:00。成功条件の詳細:[10]。
CodexでFlashを選んだ場合、組み込みWeb検索は利用できません。
DeepSeekの接続ガイドでは、この検索機能は deepseek-v4-pro のみ対応です。Flash用の公式設定では無効になっています。自作アプリからSearch・Fetchを直接呼ぶ方法とは、対応条件が異なります。[5]
課金されるのは、HTTP 200で、Searchなら検索結果、Fetchなら本文を取得できたリクエストです。検索結果が0件、失敗、タイムアウトの場合は課金されません。Search・Fetchはアカウントごとに各5リクエスト/秒の上限があり、Fetchには取得先ドメインごとの制限もあります。[10]
モデル発表:2026年10月17日。以下の一次資料10件を2026年10月18日(日本時間)に確認しました。仕様・料金は確認時点のものです。
この記事で実測していないこと:更新版モデルの実行、日本語の修正品質、実務での速度・利用料、個別アカウントの利用可否。活用例、比較手順、合格条件、依頼文は本稿の提案です。料金の計算例は、明記した使用量を仮定して公表単価から算出しました。