NVIDIA Technical Blog · 2026年8月21日発表

NVIDIA AVO

NVIDIA AVOがARC-AGI-3公開セットで
100%を達成

Claude Opus 5単体では約30%だったベンチを、AVO(持続メモリ+ツール+スーパーバイザー+inspect→plan→implement→evaluateループ)を被せただけで100.00 RHAEに跳ね上げた。しかも元々はGPUカーネル最適化用に作られたアーキテクチャが、全く別のインタラクティブ推論タスクにそのまま転用できた。「モデルよりハーネス」を完璧スコアで証明したサプライズだ。

公式発表:2026-08-21(本スライド:2026-08-20) 対象:ARC-AGI-3 公開セット 25環境・183レベル モデル:Claude Opus 5 元用途:GPUカーネル自律最適化
100%
RHAEスコア公開セット全183レベル完走
30%→100%
モデル単独Claude Opus 5 からハーネスで跳ね上げ
6,624
アクション数VISTA比 約12%少ない
10.5%
元実績FlashAttention-4を最大で上回る
7日
連続稼働GPUカーネル進化で無人運転
No.385
Day Slide2026-08-20 AI Intelligence Hub
01

発表

「モデルよりハーネス」を完璧スコアで証明した

NVIDIA AVO 2026-08-21 公式発表
01 · 何が起きたか

公開セットで100%

25環境・183レベルすべてを完走。RHAE 100.00を記録。

02 · ベース

Claude Opus 5 ≈30%

モデル単体では約30%。ハーネスで一気に100%へ。

03 · 起源

GPUカーネル最適化

元々は進化的検索のVariation Operatorとして作られた。

04 · 転用

そのまま流用

タスクインターフェースを差し替えただけでARC-AGI-3に対応。

05 · 仕組み

Memory + Supervisor

持続メモリと停滞検知が長時間自律を支えた。

06 · つまり

システム設計が差を生む

「もっと賢いモデルを待とう」という考えを根本から揺さぶる結果。

AVO(Agentic Variation Operators)は、NVIDIAが開発した一般用途のコーディングエージェントシステムだ。従来の進化的検索で固定されていた変異・交叉を、自律的なコーディングエージェントそのものに置き換える。

2026年3月の論文でGPUカーネル最適化の実績を示し、今回その同じアーキテクチャをARC-AGI-3に向けた。結果、モデル評価とエージェント評価は別物であることを、数字で示した。

まず読むもの:NVIDIA公式ブログ / arXiv論文

02

アーキテクチャ

持続メモリとスーパーバイザーが長時間自律を可能にした

AVOの核心は以下の3点に集約される。

  • Persistent Memory:過去の実装・評価結果・コンパイラ/プロファイラ出力・蓄積された推論をコンテキスト外でも保持。git lineageのようにバージョン管理し、再開可能にする。
  • Supervisor:進捗が停滞したり同じ失敗パターンを繰り返したときに介入し、メインエージェントを別の探索方向にリダイレクトする。
  • Inspect → Plan → Implement → Evaluate ループ:ツール実行フィードバックを織り交ぜ、仮説形成→実装→検証→修正を自律的に回し続ける。

論文では「単一のVariation Stepが自律的なエージェントループそのもの」と定義されている。エージェントがlineageを参照し、知識ベースを引き、実装し、評価関数を呼び、修正を繰り返す。

Long-horizon capability is a property of the full system. Memory determines what survives, tools determine what actions are possible, feedback grounds progress, and recovery allows work to continue beyond a single model invocation.— NVIDIA AVOチーム
03

数字

30%から100%へ。そして元々のGPU実績も強い

ARC-AGI-3公開セット(25環境・183レベル)での結果と、元々のGPUカーネル最適化実績をまとめる。

項目 結果 備考
ARC-AGI-3 公開セット 100.00 RHAE
183/183 levels
6,624 actions(VISTA比約12%少ない)
Claude Opus 5 単体 約30.2% ARC Prize公式報告の高努力設定
GPUカーネル最適化 FlashAttention-4を最大10.5%上回る
cuDNNを最大3.5%上回る
7日間連続自律稼働、500+方向探索、40バージョンコミット
GQAへの適応 約30分で追加適応 進化したMHAカーネルをGrouped-Query Attentionへ転用

比較はcontrolled ablationではない(観測表現・メモリ・コンテキスト管理などが異なる)。それでも「同じモデルを異なるハーネスで動かしたときの差」は明確だ。

04

転用の意味

GPU最適化からインタラクティブ推論へ、同じループが通用した

最も重要な発見は「同じエージェントアーキテクチャが、全く別のタスクに転用できた」ことだ。

  • GPU側:コンパイラ・プロファイラ・ハードウェアカウンタからのフィードバック
  • ARC-AGI-3側:環境遷移とアクション結果からのフィードバック

インターフェースは異なるが、ループは同じである。「仮説を立て、行動し、観察し、状態を更新し、続ける」というmachineryが、ドメイン知識を超えて機能した。

NVIDIAは明示的にこう述べている:「What transfers is not domain knowledge, but the machinery for sustained autonomous progress.」

05

Caveats

公開セット限定。Privateでの性能は未知

  • 公開セットのみ:25環境・183レベル。Semi-private / Privateセットでの結果は未公開。
  • リーダーボード非掲載:ARC Prizeは「public setのスコアは公式リーダーボードに載せない」方針を明示している(過学習・ハーネス特化のリスクがあるため)。
  • 直接比較ではない:NVIDIA自身も「モデル貢献度の直接測定ではない」と注記している。
  • コード非公開:完全な実装は公開されていない。論文とブログが主な情報源。
  • コストと安全性:長時間自律エージェントは計算コストが高く、ツール実行権限の厳格な制限が必要。

それでも「同じシステムが全く別ドメインで機能した」事実と、「モデル単体評価とエージェント評価は別物」という指摘は、実務的に価値が高い。

06

示唆

エンジニアが次に学ぶべきは「ハーネスの設計」だ

この結果がエンジニアに突きつけるのは、優先順位の書き換えである。

  • 既存エージェントの強化:Cursor / Claude Code / Aider などに「外部永続メモリ」と「停滞検知Supervisor」を被せるだけで、長時間タスクの成功率が上がる可能性がある。
  • World Model as Code:観察から得たルールをPythonで書き、実行して検証するループを強制する。ARC-AGI-3で特に効いたパターン。
  • 適用優先ドメイン:探索空間が広く評価が明確なタスク(性能最適化、大規模リファクタ、科学研究仮説検証ループ)に特に相性が良い。
  • 参考実装:NVIDIA-NeMo/labs-OO-Agents(NOOA)、Continual Harness、NACなど、長時間ハーネスのオープンソース例が複数出ている。

「もっと賢いモデルを待とう」ではなく、「今のモデルに強いハーネスを被せよう」。この発想の転換が、AVOの最大の実務的価値だ。

まとめ

NVIDIA AVOは、Claude Opus 5を30%から100%に引き上げた。モデルは差し替えられる。差がつくのは、reasoningとfeedbackを時間軸でcompoundさせるハーネスの設計だ。

2026-08-20 — AI Intelligence Hub / Day Slide No.385

Sources: NVIDIA Technical Blog · arXiv:2603.24517 · NVIDIA AI on X