プロンプトエンジニアリングの本質は「魔法の呪文」ではなく、曖昧さを減らし、期待する出力を具体的に伝えること。良いプロンプトは4つの要素——① 明確なタスク ② 十分な文脈 ③ 出力形式の指定 ④ 制約と評価基準——を備えています。まずこの4点を意識するだけで結果は安定します。
① 現場で効く基本8テクニック
明確で具体的な指示
「いい感じに」ではなく、対象・目的・読者・長さ・トーンを言語化する。曖昧さがブレの最大要因。
役割(ロール)を与える
「あなたは熟練の校正者です」と立場を設定すると、語彙と観点がその専門に寄り精度が上がる。
Few-shot(例示)
入力→出力の例を2〜3個見せる。形式・粒度・トーンを「説明」より「実例」で伝える方が確実。
思考の連鎖(CoT)
「手順を踏んで考えてから答えて」と促す。推論や計算を要するタスクで誤りが減る。
構造化出力
JSON / 表 / 見出し付き等、出力フォーマットを明示。後工程で機械処理する場合は特に重要。
文脈・参照資料を渡す
前提情報・社内用語・元データを本文に含める。XMLタグ等で「資料」と「指示」を区切ると誤読が減る。
制約と禁止事項
「300字以内」「推測は明示」「固有名詞は変えない」など境界条件を先に与える。
自己検証を促す
「出力前に要件を満たすか確認して」と添えると、抜け漏れや形式違反を自分で正す。
② そのまま使えるテンプレート集
【黄色の箇所】を自分の内容に置き換えてください。コピーボタンで全文をクリップボードへコピーできます。
あなたは【分野】に詳しい編集者です。
次の文章を、【読者:例 経営層】向けに【文字数:例 300字】で要約してください。
# 制約
- 専門用語は噛み砕く / 数値と固有名詞は変えない
- 事実と筆者の意見を分けて書く
- 最後に「3つの要点」を箇条書きで添える
# 対象テキスト
"""
【ここに本文を貼る】
"""
あなたはプロの日本語校正者です。次の文章を校正してください。
# やること
1. 誤字脱字・誤用・二重表現を修正
2. 読みにくい箇所を自然な日本語に
3. 修正後の全文を出力
4. そのあと「主な修正点」を箇条書きで列挙(理由を一言添える)
# 守ること
- 原文の意味・トーンは変えない
- 固有名詞・数値は勝手に変えない
# 文章
"""
【ここに文章】
"""
# 目的
【何を作りたいか:例 CSVを読み込み日付で集計する関数】
# 前提
- 言語/環境: 【例 Python 3.11】
- 既存コードの規約: 【命名・スタイル等/なければ「標準的に」】
# 要件
- 【入力】 を受け取り 【出力】 を返す
- エラー処理とエッジケースを考慮
- 簡潔なコメントを付ける
# 出力形式
1. 完成コード
2. 使い方の例
3. 注意点・限界
次のテキストから情報を抽出し、JSONのみを出力してください(前後の説明は不要)。
# スキーマ
{
"category": "問い合わせ | 苦情 | 要望 | その他",
"urgency": "高 | 中 | 低",
"summary": "1文で要約",
"action_needed": true/false
}
# 例
入力: "請求額が先月と違う。至急確認してほしい"
出力: {"category":"問い合わせ","urgency":"高","summary":"請求額の差異確認の依頼","action_needed":true}
# 入力
【ここにテキスト】
あなたは【領域】の戦略アドバイザーです。
テーマ「【テーマ】」について一緒に考えたい。
# 進め方
1. まず私の前提に抜けている論点を3つ指摘
2. 切り口の異なるアイデアを5つ、各メリット/リスク付きで
3. 最後に「次の一歩」を1つ提案
# 私の状況・制約
【予算・期限・体制など】
③ 避けるべきアンチパターン
✕ やりがちなNG
- 「いい感じにまとめて」など曖昧な丸投げ
- 1つのプロンプトに5個も6個もタスクを詰め込む
- 出力形式を指定せず、毎回バラバラの体裁で返ってくる
- 必要な前提(社内用語・元データ)を渡さず推測させる
- 長い会話を延々続け、文脈が汚れたまま指示する
✓ 改善の方向
- 対象・目的・読者・長さ・トーンを具体語で
- タスクは分割。複雑なら手順を番号で指示
- 出力形式(JSON/表/見出し)を明示する
- 参照資料を本文に貼り、指示と区切る
- 話題が変わったら新しい会話で仕切り直す
④ 一段上の上級テクニック
プロンプトチェイン
「抽出→整形→要約」のように1つの大タスクを複数の小プロンプトに分割。各段の出力を次段の入力にすると精度と再現性が上がる。
セルフクリティック
一度書かせた後に「批判的に見直して改善版を出して」と二段構えにする。レビュアー役を別に立てるのも有効。
RAG前提の指示
検索した資料を渡すときは「資料に基づいてのみ回答」「無い情報は『不明』と書く」と縛り、ハルシネーションを抑える。
長文コンテキスト管理
重要な指示は冒頭と末尾に。長い資料はXMLタグやセクション見出しで区切ると、必要箇所を正確に参照しやすい。
出力の足場を作る
「次の見出しに沿って書いて」と骨組みを与える、あるいは書き出しの数語を提示すると、狙った構造に誘導できる。
評価ループ
代表サンプルで「良い出力」の基準を決め、プロンプトを変えて結果を比較。感覚でなくデータで改善する。
⑤ 送信前チェックリスト
- タスクは1つに絞れているか(複数なら分割したか)
- 誰向け・何のための出力か明記したか
- 出力形式(長さ・体裁・JSON等)を指定したか
- 必要な前提・参照資料を渡したか
- やってほしくないこと(制約)を書いたか
- 必要なら例(Few-shot)を添えたか
- 推論が要るタスクで「手順を踏んで」と促したか