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Resource Guide 10 — Governance

生成AI 業務導入ガバナンスガイド

生成AIを「禁止」でも「野放し」でもなく、安全に使いこなすための実務ガイド。入力してはいけないデータ、無料版と法人版のデータ利用の違い、著作権の論点(日本)、セキュリティ点検、そして社内ガイドラインのひな形までを1ページにまとめました。

最終更新 2026-06-21 / 本ページは一般的な情報提供であり法的助言ではありません

生成AIの最大の事故は「高度な攻撃」ではなく、うっかり機密や個人情報を入力してしまうといった日常的なミスから起きます。だからこそ必要なのは難しい技術ではなく、全員が守れるシンプルなルール。本ガイドはそのルール作りの土台として使えるよう構成しています。

Data Handling

① まず「入力してはいけないデータ」を決める

最初に線引きすべきはここです。原則として、外部のAIサービスへ次のような情報を貼り付けない、という共通認識を作ります。

原則:外部AIに入力しない情報

  • 個人情報・特定個人情報(氏名+連絡先、マイナンバー、健康情報 等)
  • 顧客・取引先から預かった機密情報、NDA対象の情報
  • 未公開の財務・人事・M&A・経営情報
  • ソースコードや設計のうち、社外秘に該当するもの
  • パスワード・APIキー・トークンなどの認証情報

使ってよい例(一般化・匿名化すればOKになることも)

  • 公開済みの情報、一般的な知識・調べもの
  • 個人や企業が特定できないよう加工・ダミー化したデータ
  • 会社が契約した法人版/API(データが学習に使われない設定)での業務利用
Consumer vs Enterprise

② 無料版・個人版と 法人版・API の違い

「同じAIだから同じ」ではありません。契約形態によってデータの扱いが大きく変わります。業務利用では、入力が学習に使われない契約を選ぶのが基本です。

観点無料版・個人向け法人版・API・エンタープライズ
入力データの学習利用設定や規約により学習に使われる場合がある原則「学習に使わない」契約・設定が一般的
管理者によるコントロール個人任せ(統制しにくい)組織で利用範囲・ログ・保持期間を管理可能
監査・ログ限定的監査ログ・アクセス管理を提供することが多い
契約・責任関係個人と提供元会社間契約(DPA等)を結べる
業務利用の適性下調べ・学習・非機密用途向き機密を含む実務に向く(要設定確認)

確認ポイント

導入時は各サービスの「データ利用・プライバシー設定」と「商用利用・データ保持」の規約を必ず確認し、学習オプトアウトやゼロデータ保持の有無をチェックしてください。設定は変わることがあるため、定期的な再確認も必要です。

Security Checklist

④ セキュリティ点検チェックリスト

  • 業務で使ってよいAIサービスを「許可リスト」で明確にしている
  • 法人契約で、入力が学習に使われない設定になっている
  • アカウントはSSO/多要素認証(MFA)で保護している
  • 機密データの入力禁止ルールを全社員が知っている
  • AIの出力(コード・文章・数値)は鵜呑みにせず人間が検証している
  • 外部連携(MCP・プラグイン・拡張)は信頼できるものに限定している
  • プロンプトインジェクション(外部テキストに紛れた不正指示)を想定している
  • インシデント時の報告窓口・手順が決まっている
Policy Template

⑤ 社内AI利用ガイドライン ひな形

そのままコピーして、自社の実情に合わせて編集してください。まずは1ページの簡潔なルールから始めるのが定着のコツです。

生成AI利用ガイドライン(社内向けひな形)
【目的】
本ガイドラインは、生成AIを安全かつ効果的に業務で活用するための
基本ルールを定める。

【使ってよいサービス】
・会社が許可した次のサービスのみを業務利用する:______
・上記以外を業務で使う場合は事前に______へ申請する。

【入力してはいけない情報】
・個人情報/特定個人情報、顧客から預かった機密
・未公開の財務・人事・経営情報
・パスワード・APIキー等の認証情報
・社外秘のソースコード・設計
 → 必要な場合は匿名化・一般化してから入力する。

【出力の取り扱い】
・AIの出力は下書きとみなし、事実・数値・引用は人間が必ず検証する。
・対外公開・商用利用する成果物は、著作権・類似リスクを公開前に確認する。

【禁止事項】
・差別的・違法・他者の権利を侵害する用途での利用。
・許可外サービスへの業務データの入力。

【困ったとき・インシデント】
・判断に迷う場合や情報を誤って入力した場合は、速やかに______へ報告する。

【改訂】
・本ガイドラインは技術・法令の動向に応じて随時見直す。
(最終改訂:____年__月)
Shadow AI

⑥ シャドーAI(無許可利用)への対策

禁止だけでは、社員は個人アカウントでこっそり使い始めます(=シャドーAI)。むしろ「安全に使える正規ルート」を用意することがリスクを下げます。

正規ルートを用意する

法人契約の安全なAIを全員に配り、「使うならこれ」を明確に。便利な正規手段があれば無許可利用は減る。

禁止より教育

なぜ機密入力が危険かを具体例で共有。短い研修や1ページのルールで十分に効果がある。

相談しやすい窓口

「これ使っていい?」を気軽に聞ける窓口を設ける。隠れて使われるより、可視化される方が安全。